キイコは   を食べた

私の好きなものは「食べること」と「書くこと」でした。

キイコは ウエハース を食べた

う ウエハース シュレディンガーのウエハース

 

幼い頃に抱いていたウエハースのイメージは「父が好きなもの」だった。

 

別に毎日食べていたとか、常に家にあったとか、そういうことは一つもなかったけれど、ただ、父が「ウエハースが好き」と言っていた。その輪郭だけは覚えている。

 

そもそもウエハースは家で食べるにはなかなか不向きなお菓子だと思う。簡単に割れ、袋を開けるとポロポロと粉がこぼれ、湿気に弱いのに食べる時には水分がほしい。しかも高級お菓子の分類ではないか。子どもがいる家にあるウエハースは頑張っても薬局でもらえるカルシウムが入ったバニラ味のウエハースくらいだろう。

 

と、思っていたが書いていて思い出したことがある。カードがもらえるウエハースがあるではないか!確かカードと同じくらいのサイズにウエハースが入っていたはずだ。あまりにも自分で買うことがなくて忘れていた。ガムが入っていたものはよく買っていたのに。となると、私が知らないだけですでにウエハースを何百枚と食べている同い年がこの世のどこかにはいるのだろう。もし近くにいたら教えてほしい。

 

ウエハースを見ると、食べるまでウエハースではないかもしれない、という不安が頭をよぎる。目の前の“それ”に丁寧についた網目模様、きっちり切られた四角い形。これはレンガかもしれないし、ウエハースかもしれない。持ったらすぐ粉々になる砂の板かもしれないし、定規のようなプラスチックの板かもしれない。空気を四角く固めただけような軽さも私の不安をさらに煽る。形はあるのに質量がない分、いったいこれは何でできているんだ、これはウエハースなのだろうか、という気持ちが増していく。不安を目いっぱい募らせた上で食べる“それ”のサクッとした音と何ともいえないぬるいクリームが、これはウエハースだぞ、と私を安心させる。シュレディンガーの猫という言葉があるが、私にとってはシュレディンガーのウエハースの方がずっと身近だし、ずっと不思議なものである。

 

キイコは 赤いきつね を食べた

あ 赤いきつね

 

風邪をひいた時、インフルエンザで早退した時、いつも病院の帰りに母が買ってくれたのが赤いきつねだった。

 

線ぴったりに入れて作る出汁、ゆっくり食べるからだんだん柔らかくなるうどん、甘い油揚げ、うすいかまぼこ、丸いたまご。欠かさずにインフルエンザにかかる子どもだった私は、あの甘い油揚げと薄いかまぼこの赤いきつねが風邪っぴきの味だと思って、日常生活で食べることはなかった。

 

カップ麺のきつねうどんというと他にも様々あり、なんとなくタイミングを逃したお昼に食べることはあったものの、赤いきつねだけは風邪をひいた時にしか食べなかった。赤いきつねを食べる、それが私にとって風邪をひいた証であり、ここから治すぞ、という決意になっていた。頭がぼおぉっとしたまま、目の前のうどんをぐんぐんと啜って油揚げにかぶりつき、出汁まで飲み切る。メガネを曇っても、汗をかいてもお構いなし。ただでさえ考えるほど頭が働いていない自分に与えられた指令は「赤いきつねを食べ、元気になれ」だけだった。

 

小学校を卒業してからはそれまでの体質が嘘のように風邪を引かなくなり、熱も出さなかった。久しぶりに赤いきつねを食べたのは大学2年生の秋、地球史に残るような感染症に罹ってしまった時だった。病院で診断書をもらい、ぼやけた視界と体が数ミリ浮くような感覚の中、私の頭を巡っていたのは「赤いきつねを食べ、元気になれ」というあの指令。ドラッグストアで赤いきつねだけを買い、ぼこぼことお湯を沸かし、線ぴったりにお湯を注ぐ。久しぶりの対面だというのにそんな感動などする暇もなく食べるその味は、この機会を待ってくれていたかのように変わらない甘い甘い味だった。

 

なぜ、母が最初に赤いきつねを買ったのかは今でもわからない。でもこれからもずっと、赤いきつねは、風邪っぴきの味。

キイコは 鶏の唐揚げ を食べた。

 鶏の唐揚げって、料理界のムードメーカーですよね。

 

 ほっかほかの白いご飯と、ラーメンと、パンと。鶏の唐揚げさん。誰とでも仲良くなれるから友達も多くて。時には前に出て率先して食卓を盛り上げてくれるし、時には静かにいてくれる安心感でメインを引き立ててくれるし。私も、あぁなれたらなぁ....。

 

 というポエミーはさておき、鶏の唐揚げの万能さは本当に驚かされます。唐揚げという名前のつく食べ物は他にもあるわけですが自分がやっぱり行き着くのは「鶏の唐揚げ」なんですよ。この前と違い今日は塩唐揚げ。衣薄めカリカリタイプ。揚げたてに勝るものなし、そう思っていました最初は。そういえばあったわ、段ボールいっぱいに送ってもらったすだち。指でつまめる小さな緑色をくしくしっとくし切りに。皮を下にしてキュッと絞る。

 唐揚げはカリカリ派。カリカリ派だからまず1個だけすだちをかけて食べる。食べてすぐ鼻を抜けるはすだちのちょっと苦味のある香り。崖に立った時の後ろから押されるあの強い風のような感動が、頭の中を吹き抜ける。後から追いつく唐揚げの旨みもすだちには決して追い付かない。風のように一瞬で、でも忘れられない。唐揚げがここまで爽やかになるとは?これ唐揚げ無限に食べられるのでは??今日はカリカリとかじゃない、今日は唐揚げにマヨネーズじゃない、今日は唐揚げにすだちなんだ!と言わんばかりに絞っては食べ、絞っては食べる。最後の1個には特別丁寧に、出会えたことに感謝を。

指に残る香りも心地よい。

 

最後に、10月がこんなに忙しくなるとは思いませんでした。

キイコは 白身魚フライ を食べた

 白身魚フライって、家で作りづらいですよね。

 フライっていうのは数多あって。揚げたてなんて最高なものですよね。誰も見ていないと思いつつ食べてあまりの熱さにバタバタしていたらバレた、なんていうのは1度くらいはある経験ではないでしょうかね。荒めのパン粉でも細かいパン粉でもそれぞれ良さがあります。ただ、

白身魚フライ、家で作りますか???

骨が少なく揚げてもあまりに小さくならないような白身魚を買う、下味をつけたりする、卵やパン粉や何やらを用意する、油を温めておく、順番を守り衣を着た白身魚を油で揚げる。んーー......なんか工程多いなぁ。そう思っちゃうんです。ただ同じ揚げ物でもこれがトンカツならなんか作れる気がするんですよ。なんで?工程はほぼ同じなのに...なんだろう、こう、魚という生でも食べられる食材をここまで仕立て上げることになんだか時間を感じてしまうのか...お肉は家で食べるなら生食厳禁じゃないですか(外も自己責任だけれど)。というわけでここまでとは言わないものの最低限茹でる、焼くという工程が当たり前に備わった食材なのでまあそうよねとどこか理解できるところがあるのか...。とにかく、白身魚フライは買って食べますね。買った方が味の信頼があるっていうのもあるかも。スーパーの人いつもありがとう。今回も美味しく食べました。

 

 白身魚フライといえば、のり弁当ですね〜。ほっかほっか亭、ほっともっと、スーパー。どんなお弁当にも定番としてありますよね。これあれば安心。前話しましたが私はのりが大好きなのでのり弁当結構好きです。簡単だけれどなんとなく買ったお弁当で食べたくなるんですわあの味。のりという魔法がかかったご飯の上にどっしり構える白身魚フライやその相棒、親友、コンビとして隣を譲らないちくわの天ぷら。あの量だから良いお漬物や何年経っても味の変わらないきんぴらごぼうなどなど。

のり弁当の思い出としては2年半前、誰も経験したことのないウイルスが猛威をふるった初めての春。家族でお花見をしたいな、と。歩いて行ける距離に桜の名所はあるんですけどまぁこんな感じだし車で行って車から見ようということになりまして。車をブーンと飛ばして桜を見ました、見たかったんです。ところがどっこい、北に向かったので桜全然咲いていませんでした。多めに言っても二分咲きくらい。あのですね、桜が咲く直前の木って蕾の色でうっすらピンク色が見えるには見えるんですけど、あくまで冬の木から春の木になるところなんで葉もついていなければ雪も積もっていない。木。でも休み今日しか合わないしお弁当もお団子も買ってるし......食べよう。ということで、車の中、木を眺めながらのり弁当を食べたという思い出です。

 

最後に、またこの季節になったな、と思っています。

 

 

キイコは スープカレーラーメン を食べた

 スープカレーラーメンって、好きなものしかないですよね。

 

 スープカレーも、ラーメンも好きです。これが合わさったらどうなるか、大好きになるんですね〜〜。スープカレー、ぜひ北海道で食べてみたいと思いつつ今日食べたのは袋ラーメン(日清)です。カレーはあんかけ??っていうくらいのとろみが好きですが、スープカレーはもうそんなこと言っている場合じゃありませんぜ。あのスプーンからスルスルと逃げ出すようなサラッサラのスープ状に憧れがありますね、家で作るとなんだかんだで好きな熱くてとろみのあるやけどをする前提のカレーになってしまうんで...。この袋ラーメン、野菜と煮込んで作る!ということだったので書かれている通りにしましたが、いつもちょっとオリジナル要素を付け足したい身なのでちょっとお湯の量を減らして牛乳を入れてみました。とても美味しかった。今また食べたくなっていますわ...。

 美味しかったものってその日1日中考えちゃって。そういうことありません?

あれ.....美味しかったな.....今度あれ入れてみようかな..............美味しかったな...

っていうとき。ただそれしか考えない。考えたくないとき。私は食べることが好きなのでそれがあるだけでも今日は良い日だと思えるんですね。美味しかった、という思い出は意外と残っておりまして。給食の伸びきった味噌ラーメンを再現したとき、韓国の辛い汁なし麺を美味しく食べられるくらいに慣れたとき、あまりにお腹が空いて午前1時にどんぶりに移さないで鍋から食べたとき。ラーメン以外にもいっぱいあります。昔から食べることは好きですね。

 

 前回もラーメンの話だったのでしましたが、ラーメン作る派なんですよ。スーパーにある生ラーメン然り、袋ラーメン然り。自分でアレンジをできるのが良くて。味の濃さはもちろんですけど、なんとなくこの野菜入れてみようかな、とかこのトッピング美味しいかしら、とか。ラーメンを家で作る安心感としては大前提「味の保証はある」ということ。よっぽど相性グッシャグシャにしなければ袋に書いてある味にはなる。今回もよっぽど変なものを入れない限りはスープカレーを保つことができますからね、信頼がありますのよ。それ以前としてカレー味への信頼は絶大です。私が調理でやらかしても後ろで数多のスパイスと一緒に美味しさを守ってくれる心優しき巨人。いつもありがとう。

 

 

最後に、スプラトゥーン3を買おうか迷って7回目です。

 

 

キイコは 味噌ラーメン を食べた

 味噌ラーメンって、寒くなれば寒くなるほど美味しさが染みる気がするんですよね。

 

 味噌をお湯に溶かしたお味噌汁でさえご飯が進むのに、それをラーメンのスープにしてしまうとはなんと恐ろしいことか...。ちょっと濃いめのスープと輝いている麺、今回はチャーシュー、もやし、水菜、ラー油和えの白ネギ。今日は雨も降って非常に寒かったもんで、いつも以上にどんな具材を入れても受け入れてくれる非常に寛大なスープのありがたみを感じました。これからさらに、というか寒さなんてまだまだ序の口みたいな地域なので、これから味噌ラーメンをさらに美味しく感じられるのは数少なく冬の好きなところと言えるかもしれないな〜。今回はチャーシューのために茹でた豚肉のゆで汁があったのでそのままスープになってもらいました。家で作る時でもお肉のゆで汁とか、野菜を炒めた油とかをそのままラーメンに使うだけで味が格段に良くなる気がしますわ。炒め野菜とか感動する本当に。手間をかければかけるほど感動を与えてくれます。だから、外で食べるよりも家で作りたくなってしまうんですわね。

 

 ラーメンという話題で必ずと言っていいほど上がる話をここでもしましょう。具材を何か1つ、増やすことができますと。そのとき、何選びます???

私は絶っっっっっっ対「海苔」

 ラーメンの具材1つだけしか乗せられないんです〜、と言われても海苔です。スープに浸かっていない海苔で麺を巻くも良し、形を留められる限界までたっぷりスープを吸わせて麺と思いっきり啜るも良し。特に濃い味辛い味のスープにまぁ〜〜〜〜合うこと!!!!1回トッピングで海苔を追加したら元々ラーメンに乗っていたらしく海苔8枚になったことあります。幸せだった...。今回?もちろん味噌ラーメンにも乗せましたよ、3枚。

 

最後に、今シーズン初めて灯油買っている人を見ました。

 

キイコは しゃぶしゃぶ を食べた

 しゃぶしゃぶって、言葉以上にこの料理を表せる言葉ってそうないですよね。

 

 赤みのある色のお肉がだしの中で白くフリフリになっていく姿に何度もワクワクしてしまうしゃぶしゃぶ。野菜のシャキッとした食感とお肉の柔らかさに顔がほころぶしゃぶしゃぶ。ポン酢、ごまだれなど手軽に変えられる美味しさでずっと楽しめるしゃぶしゃぶ(そばつゆと大根おろし、ごま油を混ぜたタレが好き。しゃぶしゃぶしゃぶしゃぶ。つい書きたくなるしゃぶしゃぶの名前は材料や、考案者の名前ではなく擬音。どうも昔、従業員がおしぼりを洗濯して水ですすいでいる様子を見て、鍋でお肉をくぐらせる様子に似ている、と大阪にある料理店の先代が考えたことから名付けたと言われているそう。すっかり料理の名前として馴染んでしまったこの擬音。改めて考えるとなんとなくこれ以外の擬音を使ってもしっくりこない。じゃぶじゃぶ、じゃふじゃふ、しゃふしゃふ...これは逆も然りで、

雨がしゃぶしゃぶ降っている。

プールでしゃぶしゃぶ泳ぐ。

しゃぶしゃぶと川が流れている。

....なんとなく、なんとなくしっくりこない。旨味たっぷりのだしを薄いお肉や野菜たちがひらりと踊るこのバランスを一番表している言葉なのでしょう。これほど食べ物と擬音がつながっている食べ物もそうないのでは...?

 

 食べ物において、擬音というのは本当に大切な役割を果たしていて。サクッ、じゅわっ、ぱりっ、とろ〜り、考えればいくらでも出てきます。これ、ひらがなかカタカナかでもなんとなく変わってきますよね。例えば「かりっ」と「カリッ」。私の感覚ですが、前者はらっきょう、後者はフライドチキンっぽい。こう、ひらがなのほうが軽いのに対してカタカナのほうがクリスピー感が増すというか。もちろん濁点がつくかどうかでも変わるし、どのくらい誇張するかどうかでも変わる。外国語にも食べ物の感覚的な言葉っていうのはありますが日本は本当に豊富だと思います。さて試しに英語、crispを調べてみますとね。

①(食べ物などが)かりかり[ぱりぱり]した(堅いが)砕けやすい、さくさくした※1

②(野菜などが)ぱりぱりした,新鮮な ※1

 他にも意味はありますが食べ物関連だとこの辺り。この時点で擬音、重複を数えなくても3つあるんですよ。ちなみにcrispyに変えてネットの例文を調べるとよりその幅広さを感じられます。カリカリに焼いたベーコン、カリッと揚げたチキンカツ、サクサクしたライスパフ、シャキッとした歯触り、揚げ豆腐※2これ全部crispy。つまりこれを使い分けているんよね私たち。日本語って素敵。

※1...旺文社 オーレックス英和辞典第2版 より引用

※2...英辞郎on the Web crispyより引用

 

 

最後に、寒さ以上に陽が落ちる早さに驚きました。