キイコは   を食べた

私の好きなものは「食べること」と「書くこと」でした。

キイコは しゃぶしゃぶ を食べた

 しゃぶしゃぶって、言葉以上にこの料理を表せる言葉ってそうないですよね。

 

 赤みのある色のお肉がだしの中で白くフリフリになっていく姿に何度もワクワクしてしまうしゃぶしゃぶ。野菜のシャキッとした食感とお肉の柔らかさに顔がほころぶしゃぶしゃぶ。ポン酢、ごまだれなど手軽に変えられる美味しさでずっと楽しめるしゃぶしゃぶ(そばつゆと大根おろし、ごま油を混ぜたタレが好き。しゃぶしゃぶしゃぶしゃぶ。つい書きたくなるしゃぶしゃぶの名前は材料や、考案者の名前ではなく擬音。どうも昔、従業員がおしぼりを洗濯して水ですすいでいる様子を見て、鍋でお肉をくぐらせる様子に似ている、と大阪にある料理店の先代が考えたことから名付けたと言われているそう。すっかり料理の名前として馴染んでしまったこの擬音。改めて考えるとなんとなくこれ以外の擬音を使ってもしっくりこない。じゃぶじゃぶ、じゃふじゃふ、しゃふしゃふ...これは逆も然りで、

雨がしゃぶしゃぶ降っている。

プールでしゃぶしゃぶ泳ぐ。

しゃぶしゃぶと川が流れている。

....なんとなく、なんとなくしっくりこない。旨味たっぷりのだしを薄いお肉や野菜たちがひらりと踊るこのバランスを一番表している言葉なのでしょう。これほど食べ物と擬音がつながっている食べ物もそうないのでは...?

 

 食べ物において、擬音というのは本当に大切な役割を果たしていて。サクッ、じゅわっ、ぱりっ、とろ〜り、考えればいくらでも出てきます。これ、ひらがなかカタカナかでもなんとなく変わってきますよね。例えば「かりっ」と「カリッ」。私の感覚ですが、前者はらっきょう、後者はフライドチキンっぽい。こう、ひらがなのほうが軽いのに対してカタカナのほうがクリスピー感が増すというか。もちろん濁点がつくかどうかでも変わるし、どのくらい誇張するかどうかでも変わる。外国語にも食べ物の感覚的な言葉っていうのはありますが日本は本当に豊富だと思います。さて試しに英語、crispを調べてみますとね。

①(食べ物などが)かりかり[ぱりぱり]した(堅いが)砕けやすい、さくさくした※1

②(野菜などが)ぱりぱりした,新鮮な ※1

 他にも意味はありますが食べ物関連だとこの辺り。この時点で擬音、重複を数えなくても3つあるんですよ。ちなみにcrispyに変えてネットの例文を調べるとよりその幅広さを感じられます。カリカリに焼いたベーコン、カリッと揚げたチキンカツ、サクサクしたライスパフ、シャキッとした歯触り、揚げ豆腐※2これ全部crispy。つまりこれを使い分けているんよね私たち。日本語って素敵。

※1...旺文社 オーレックス英和辞典第2版 より引用

※2...英辞郎on the Web crispyより引用

 

 

最後に、寒さ以上に陽が落ちる早さに驚きました。